Lighting Aesthetics

リゾートホテル

「アートビオトープ那須」の照明デザインをコンサルティングさせていただく機会を得た。今回のプロデューサーであり二期倶楽部創業者である北山ひとみ氏のヴォイスを光に翻訳するというコンセプトでデザインしてみることを試みた。スイートヴィラ及び外構・庭園については照明計画の設計・監理を遂行した。このエントランスから右手奥に続くスロープを昇ると、レセプション・レストラン棟及びスイートヴィラ棟が連なる。翻訳において、どんな物語もその世界観はイントロで決まる。イルミネーションの控えめな輝きをエントランスに配することで、別乾坤(べつけんこん)に通じる静かな期待の始まりを表した。

スイートヴィラの照明は、昼間、森のなかを散歩している際に浴びる太陽の光を参照した。つまり間接光と直接光を適度に混ぜることにより生まれる自然な光を目指した。

各棟番号サインの夜間の光については、以下2点について満足できるよう特注製作したスポットライトを地面や植栽に向けて照射した反射光が当たるように計画した。

1:番号サイン反対側の人に対して、スポットライトが眩しくならないように間接光とすること

2:夜に植物が休めるように光の波長を緑色系にすること

 

住宅


ここ東京近郊に建つY邸は、中庭を囲むかたちで外部と隔てる内部環境としての家である。この家族にとっての快適な光とは、美しい気持ちをよびさます光による感覚的経験であると建築家とダイアローグを進めつつ、建築家のヴォイスを光に翻訳した。

エスセティクスのライティング

エスセティクスのマーケティングとは「組織やブランドのアイデンティティ創造に貢献する企業やブランドのアウトプットを通じて、感覚的経験をマーケティングすること」を指している。ならば、マーケティングをライティングに置き換えてみよう。それは偶然には生まれない。緻密に計算され、時間とエネルギーが投下されたのち、プレゼントされるライティングにちがいない。

※Marketing Aesthetics:The Strategic Management of Brands,Identity,and Image by Bernd H Schmitt and Alexander Simonson   (1997)

Lighting Entertainment

住宅

自由が丘にあるこの住宅は地下に経営者である主人の工房、書斎、トイレなどを要したスタジオをもつ。そして何よりここは、ゲストや社員をもてなす場所となる。昼はサンクンガーデンより外光が入り明るく、夜は暗くすることで地上2層部同様に概日リズムに則り、家族も含めて人が体調良く快適な生活をおくっていただけることを願って照明計画を遂行した。

下であるために、サンクンガーデン反対側を間接光やフットライトを使用することで、明るさを補正

 

 

 

 

Local lighting

下川邸3
下川邸4
下川邸5

この場所では直接光によるLocal lighting、間接光によるLocal lightingがそれぞれ相交じり、全体としてはぼんやりとしたGeneral lightingとした。また、下方に向かっての光と上方に向かっての光や横方向の光を混ぜてGeneral lightingとした。これらにより、ぼんやりした光に包まれながらも、手元資料や飲食物はクリアに見ることができるメリハリのある緊張とリラックスを両立させた場所を実現することができた。

エンターテインメントのライティング

楽しい気分になったり、心が癒されたり、テンションがあがったり、ハッピーな気分を体験していただけるための、人をもてなす光というものが存在する。

かたちのある光

さらに、イルミネーションなど光そのもののかたち、フロアスタンド、ペンダントなどの器具のかたちによって、人を迎え入れ、気持ちよく過ごしてもらえることを望む光も存在します。

Lightigng Gradation

住宅

様々な光が混じり、それら織り成す光の粒子が天井、壁や床の表面をうつろい、グラデーションや濃淡が生まれる。光がマテリアルに変態した瞬間である。

グラデーションのライティング

均一に明るいだけの空間にはグラデーションは生まれない。陰翳・濃淡・諧調をマテリアルと共に生み出すことこそがライティングの魅力ではないのだろうか。それはもちろん自然の光にも存在する。それらを参照していきたい。

スロッピー

間接光と間接照明は似ているが、長いスパンのグラデーションを生むのは圧倒的に間接光からである。また、自然の光のグラデーションにムラ(斑)があるように人工の照明にもムラをつくり、スロッピーな文化のヴォイスやヴォキャブラリィとしたい。

 

 

自然

自然なグラデーションをつくるには、配光を慎重に選択しなくてはならない。

 

 

 

昼は明るく夜暗く

昼は明るく、夜は暗く生活する人類にとってのあたりまえのリズムが乱れることで、様々な不調が表出されている現代において、もう一度、夜を暗くすごす、又は光だけでなく闇もたいせつにすることで生まれる快適さや美しさに注意を向けても良いのではないのでしょうか。

 

間接光と直接光

構成

ワークプレイスのジェネラルライティングを間接光と直接光の割合を五分五分にすることにより、PCモニターを観やすく、人に対して不快な影を落とさず、フレンドリィな雰囲気の促進に期待できる。

日中や曇り・雨の日には直接光を主体に、夜には間接光を主体に照明を切り替えることにより、執務への集中とサーカディアンリズムに則った健康の促進にも期待できる。

気持ちを昇げる

外観

カジノとは異なる日本独特のパチンコ盤面のカラフルなグラフィックとライトのイメージを建築デザインと融合させつつ、ここへ訪れるカスタマーの気持ちが昇がる効果をねらい、照明計画した。

構成

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外観⇒受付⇒ホール⇒休憩⇒トイレというそれぞれの場所を移動するカスタマーの気持ちに寄り添うことのできる照明をめざしながら計画した。

 

物語をつくる

構成

近鉄百貨店プロデュースのライフスタイルマーケットとして誕生した”あべのand”は、超高層ビル”あべのハルカス”とラブホテルなどの混じる歓楽街との狭間というユニークなロケーションに位置している。従って、外観も含めた全体を、自然素材と控えめな照明により、身の丈に合った生活者視線に寄り添うこじんまり感+カラーによるアクセントという印象にした。

通路

公共通路は、自然素材と間接光主体による温かい雰囲気をつくりつつ自分が今どこにいるのかがわかり易いように場所の特徴をつくっている。

時間

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吹き抜け~屋上階を外部の延長と捉え、昼は明るく、夜は暗くすることによって、自然のリズムに合わせた人の健康なリズムに寄り添う明るさの配慮をつくった。吹き抜けのブラケットライトは雨の雫をモチーフに一日の時間帯に合わせて変化する色の雫がゆっくりと下降する。屋上テラスの小さな植栽内に存在するガーデンライトは、時の経過に合わせて一瞬、光が回転する。

マスタリング

横浜BankART Studio NYK 3Fでの展覧会”芸術家の棲む家” このような会場照明では、個々ブースの照明を行った(プレマスタリング)後に、全体のバランスを調整する(マスタリング)ことで一つのトーンによる物語が成立する。

 

メッセージをつくる

構成

写真 1
写真 2

受付から廊下、そして会議室へ通されたカスタマーは、この会社のブランドイメージを何となく統一された照明に助けられ、確かな記憶となるに違いない。さらにリニアな光の連続は、投資会社のスピード感とアクティビティを伝えるメッセージとなるであろう。

 

 

光の色

リビングルーム

天王洲にあるメゾネットY邸の改装に伴い、オーナーであるY様の海外人向け賃貸物件としても価値のあるようにホテルのような雰囲気にしたいとの要望を受け、玄関に始まり、廊下、二つの寝室を含めたキッチン以外の全ての部屋を照明デザインした。リビングルームのジェネラルライティングはリモコンにより、カラーの変化を楽しめる間接照明主体とした。さらに、ブラケットライトなどからの横方からの光によって、できるだけ人に美しい影が生まれるように計った。また料理や手元を集中的に照らす直接光の調整と光の色や明るさの変化も加え、総合的に、食事、映画鑑賞、ホームパーティ、くつろぎ、それぞれのシーンに合わせてlightingも連動することを可能とした。

ダイニング

ダイニングは、朝や曇りの日のための蛍光灯光源による明るいシーンと、夜は、ハロゲン光源による炎と同じ演色性と集光による美味しそうなシーンを選択できる計画とした。2017年現在、再びハロゲン光源の見直しによりLEDをハロゲンに戻す傾向がとくに欧米を中心に活発化しているそうであるが、LED普及による光質の均一化に抵抗を示す人が増加しているのではないかと考えている。

寝室

ハロゲン光源による清潔でクリアな輝きに満ちたサニタリーから一転、寝室は落ち着いた光で眠りに誘うというメリハリのある照明の構成とした。

構成

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ダウンライトで照明された共用廊下から、居住者が玄関の扉を開けた瞬間、マットに明るい光天井で迎えられる。これは、ホームと外との結界にもなっている。玄関より一階ダイニング、二階寝室やサニタリーへ通じるホール・階段・廊下は優しいLED間接光で満たし、それぞれの行先は直接光を主体とするメリハリのある構成としている。

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昼は明るく、夜は暗く、という光の構成により、サーカディアンリズムに則り居住者が健康に過ごせることを望んだ。白い壁面や光沢のある石材を活かしつつ光のカラーによる人の情緒面、免疫力に与える効果を楽しめるよう計画した。